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2018.09.28

残された卵子の数

38歳の女性がばぶばぶに来院されました。
結婚は8年前、30歳のときでした。
バリバリのキャリアウーマンだったため、
結婚後もしばらくは仕事が優先。
子どもは先でもいいかな・・・と
安易に考えていたそうです。

ふと気づけば37歳。
そろそろ子どもを・・・妊活を開始しましたが、
一向に妊娠の兆候はなく・・・。

よい結果が得られないまま
月日だけがどんどん流れていき、
38歳で不妊クリニックを受診しました。

クリニックではまず、
血液中のAMHを測定しました。

AMHとは
卵巣内に眠っている卵子の元になる細胞から
分泌されているホルモンの一種です。

この値を検査することによって
卵巣内に卵子があとどれぐらい残っているかを
知ることができます。

彼女のAMH値は低く、
それはつまり、
卵巣内に残されている卵子のストックがかなり少なく、
まだ30代ですが、不妊治療を含めた妊活に費やせる時間は
あまり残っていないということが
明確になりました。

「妊娠はもうちょっと先でいいかな・・・」

彼女は、38歳になるまで
卵子の数に限りがあるなんて知りませんでした。

軽く考えていた自分と、衝撃の事実を突きつけられ、
大きなショックを受けました。

彼女のように、
仕事の都合で意図的に妊娠を避けている
カップルは、ばぶばぶでもけっこういらっしゃいます。

長期の避妊期間を経ても、
欲しいと思ったときに妊活を始めれば
すぐ赤ちゃんが来てくれるのだったら、いうことはないですが、
現実、そんなに甘くはない場合も多いです。

クリニックを受診して、はじめて
「実は卵子の残りが少なかった!」
という事実を知ることは珍しくありません。

では、
AMHが高ければ妊娠しやすくて、
AMHが低ければ妊娠しにくいのか?

例えばわたしは現在44歳ですが、
AMH値は高いです。
卵巣の予備能力はまだまだありそうです。

来院された38歳の女性よりもAMHが高いから
44歳のわたしのほうが妊娠しやすいのか?
というと、違います。

AMHはあくまで、
〝卵子の数の目安〟になる値であって、
決して〝卵子の質〟を表すものではありません。

AMHは低くても38歳の彼女の卵子は
まだそれほど老化していません。

AMHは高くても44歳のわたしの卵子は
老化しているはずです。

妊娠できるかどうかは、
卵巣内に残っている卵子の数より、
卵子の質が大きく関わってくるので

AMHの低い彼女が、早くその事実に気づいて
妊活開始してくれさえすれば
妊娠率は確実に、
44歳のわたしより高くなると思います。

つまり、 AMHの値は
〝妊娠のしやすさ〟を表す値ではなく、

『あなたの妊娠可能年月はちょっと短めやから
のんびりせんと、早めに妊活開始してね。
あなたは閉経も早いかもしれんよ!』

という、人それぞれの〝妊活が成果をもたらす年月〟
が予測できるのです。

幸い、彼女はまだ38歳です。
AMHが低いことはわかったけど、
今の年齢でそれがわかって本当に
よかったと思います。

不妊治療を開始して結果が出る可能性は高い!

もしも2年後、40歳でAMHが低いことを知っても、
その年齢からでは、妊活できる期間は
限りなく短くなってしまうのです。

「知らなかった」じゃ済みません。
後悔しても遅いのです。
でも、不妊治療の現場では
「知らなかった」「もっと早く気づくべきだった」
という声を聞くことが少なくありません。

でもそれは、決して彼女たちのせいじゃないんですよ。
知る機会を持てなかったことは
生殖医療従事者の情報提供が足りないからで、
わたしたち医療者の責任だと思います。

助産師として「だって知らなかったんだもん」
そんな言葉を聞くたびに
申し訳なさと悔しさを感じます。

現在、生殖医療の現場では一般的に
『30歳をすぎたらAMH検査をしましょう』
と推奨しています。

AMHが低い=妊娠しにくい
ではないために、

年齢が若ければ、
「その検査、必要なの?」
という考え方もありますが、

検査を受けない選択だったとしても、

「検査のことは知っている。知った上でわたしは受けない」
のと、

「検査を知らないまま高齢になってしまった」
のでは、

その後の気持ちは大きく違ってくる
のではないでしょうか。

知っていたから早めに妊活スタートできた。

知らなかったから妊活が遅れた。

その違いは、どんなに大金を積んでも、
どんなに努力をしても、
結果が出ない場合も多い〝妊娠〟という
神の領域の奇跡において、

その女性の、これから先も長く続いていく人生への
捉え方、気持ちの持ちように、
大きく関わっていくとわたしは思っています。

女性の妊娠力は加齢によって確実に低下します。
そしてAMH値は
どんな努力をしても引きあげることはできません。

だからこそ、
若いうちに、早く自分の身体の状態を知って、
それに合わせたライフプランを考え
実行してほしいと思います。

38歳の彼女に
幸せが舞い降りますように・・・。

お願いします、神様!!

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