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2018.10.03

慌てても、いいコトないんだから。

『初産婦は予定日超過しやすく
経産婦は予定日前にお産になりやすい』

なぜかそう思い込んでいる人が
多いみたいです。

そんな情報はどこにも書いてないはずなんですけど、
出どころはどこなんでしょうか?

初産婦はおなかの赤ちゃんだけに
意識を集中することができるので
心身に負担をかけずゆったりした妊娠生活を
送ることができますね。
そんな理由から予定日超過しやすく、

経産婦は、臨月になっても
上の子の世話など
バタバタ動き回っているために
無理がたたって予定日より早く産気づく・・・

っていう、イメージなのかなぁ。

妊娠37w0d〜41w6dまでを
正期産(正常な分娩時期)と定義し、
ちょうどその中間、40w0dに出産予定日があります。

つまり、予定日前3週間、予定日後2週間、
合計5週間のどこかで出産になるわけで、
〝予定日〟は、実はかなりアバウトな、
単なる『目安』なんですね。

よく考えてみると
5週間ってけっこうな幅ですよねー。

予定は未定。
赤ちゃんがいつ生まれるかは
神様しか知らないってことですね。

初産、経産に関係なく、
切迫早産等、妊娠中のトラブルがなくても
毎回、予定日までもたないという人がいます。

逆に、何度産んでも予定日超え!
という人もいます。

妊娠経過が順調であること前提の話ですが、
安静に過ごしたとか、
アクティブに過ごしたとか、
そういうのは、出産日の早め、遅めには
あんまり影響しません。

じゃあ何?
うーん、体質。
・・・ですかね。

わたしは
1人目ー38w
2人目ー40w
3人目ー40w
4人目ー41w
5人目ー41w
6人目ー40w
7人目ー40w
8人目ー40w
9人目ー40w
10人目ー39w
11人目ー39w

改めて書き出してみるとその数、圧巻ですね。

いやいや^_^;
今回のテーマはそういう話じゃなくて

わたしの実際の出産日はだいたい出産予定日(40w0d)
付近に集中しているのがわかります。

1人目が38wだったのは、
胎児が大きすぎるという理由で

予定日まで待ってたら
経膣で産めなくなる!と脅され、
回避的に(?)余計な手を加えたからでした。

臨月になると
健診のたびに子宮口を柔らかくする膣剤を入れられて
人為的に子宮頸管の熟化を促していきました。

お産開始のスイッチが入るのは、
母体側の産道周辺のスタンバイ状況、赤ちゃん側の準備、
両者の、さまざまなタイミングが噛み合ったときです。

それらが総合的に熟してこそ
陣痛開始となるわけですが、

すべての材料が揃っておらず、何かがまだ準備途上で
スタートラインに立てていない時期に
むやみに誘発をかけたところで
赤ちゃんと妊婦へ不必要な負担をかけるだけに
なってしまいます。

早期に破水しちゃうか、陣痛が来たとしても
分娩に至る『有効な子宮収縮』には繋がりません。

結局、スムーズに進まず
母子ともに疲労困憊になるだけなんです。

『子宮収縮=赤ちゃんへ酸素が供給されにくい』

分娩遷延になれば赤ちゃんの予備能力も低下します。
心拍が落ちたら、即緊急帝王切開に
切り替えられる可能性もあります。

なので、現在の産科医療では
母体と胎児へ過剰なストレスを与えない方向で
20年前のような無理な誘発は
あまり行われなくなっています。

さて、わたしのはじめてのお産は、
子宮頸管熟化剤の作用で38wで前期破水。
一晩待って点滴による分娩誘発を開始しましたが
陣痛は来るのに子宮口が反応しない(開かない)状況のまま
時間ばかりが過ぎていきました。

その日はお産に至らず断念。
翌日、仕切り直し。

2日目の誘発。
さらに強い陣痛が1〜2分おきに襲ってくるにもかかわらず
やっぱりお産は一向に進まず。

あとから入院してきた産婦が
次々お産を終えていきます。

順番抜かしするなんて、卑怯やん!←?

なんだかもう、
心は折れるし、身体は崩壊寸前だし、
正常な思考ができなくなっていきました。

3日目の誘発。
ようやくお産は進み始めましたが
疲労と睡眠不足でフラフラでした。

たいがい痛いのに、いつ内診してもらっても
「3cmから進んでないね〜」って。

わたしの助産師としての教科書的知識では、
この痛みのレベルは子宮口6cm以上のはずやねん!

3cmって何!
そんなわけないやん!
ちゃんと内診してよ!

でも、担当してくれた助産師さんは

「そう言われても3cmやねんなぁ〜。
ごめんな。もうちょっとかかるわ」

ごめんって言うなよ!
もうちょっとってどんだけ!

この世のものとは思えない苦痛が
容赦なく襲ってきます。

しかも陣痛のピークに、
助産師さん、ありえない要求を
ぶつけてきます。

「はい、内診するねー」

触んなよ、ボケ!
なんで今やねん!

いや、陣痛発作のピーク時に内診はするものだと
知ってるんですけどね。

わかってるけどさぁぁぁ!

お産がこんなに凄まじいものだとは
知らなかったんです。

出産経験がない助産師のわたし。
お産の、いったい何を知って
堂々と分娩介助をしていたのでしょうか・・・

めっちゃ薄っぺらく、
めっちゃ軽々しく、

「まだいきまないでね〜♪」

とか、産婦さんに言ってたなぁ・・・。

ああ、わたしにお産を取られたママたち、
ごめんなさい、ごめんなさい!

懺悔の気持ちが湧き上がってくると同時に
助産師としてのプライドは傷つき、自信も喪失。
そのうち助産師どころか女性であることも忘れ、
最後は人間捨てました。(笑)

そんなわたしの初めての出産は
分娩所要時間58時間でした。
長すぎ。よく生きてたな、わたし。

生まれてきた赤ちゃんは38w3dで3600gの
ビッグちゃんでした。

第2子以降は、自然のなりゆきに任せたためか
出産日は予定日前後に集中です。
どうやらわたしは、どっちかというと
予定日超過の傾向がある人のようです。

そういう体質の人を38wでお産に持っていくなんて、
そもそも無茶だったんだよな〜って
今さらながら思います。

第1子の58時間がウソのように、
以後の10人は分娩開始から5時間以内で生まれました。

===教訓===

●よほどの医学適応がないかぎり、
母子ともに自然にお産開始の条件がすべて出揃うまで
じっくりゆっくり待つべし。

●慌てて早々から余計な手を下さないほうが
スムーズなお産になる!

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