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2020.06.17

母乳育児=育児力?

先日、ほぼミルク寄りの育児をされているママが
ばぶばぶに来られました。

そして

「私は母乳育児を諦めてしまった育児力のないママなので・・・」

という表現をされました。

〝育児力〟ってなんでしょうね。

子育てを器用にこなすことができるスキル?
世界的に推奨されている母乳育児を全うできること?

11人育ててきて思うのですが、
子育てをイメージのままに器用にこなせる人って
まずいないと思うんですよね。

子どもはそれぞれ
性格も個性も得意なことも苦手なことも全員違うので、
何人育てても、その1回1回の関わりに対して
返ってくる反応もすべて違っていて

ええ〜なんで?

な、ことばかり。^^;

そういう意味では、
ママにとって子育てとは

『いつも新鮮な初体験の連続』

と言えると思います。

母乳育児をする、しないに関しても、
その親子の背景や『個人差』が大きく影響するため
頑張ったら必ず成果が出る、というわけではなく
ママの根性論・精神論だけで語れない部分が
多々あります。

うまくいかないこと。
こんなはずではなかったこと。

そういうハプニングを
「育児力がない自分のせい」
と結論づけるのはお門違いで

ハプニングをプラス思考へと転換する
逆転の発想ができる柔軟さこそが
「育児力のあるママ」だと思います。

つまり、わたしの考える〝育児力〟っていうのは
「ちっぽけな自分を笑い飛ばすおおらかさ」

そこに母乳うんぬん、まったく無関係やから!

現在、授乳を終える時期について
主流になりつつあるのは
1歳以降も無理して母乳をやめる必要はないとする考え方です。

母乳に関する研究が進み、
長く母乳を飲んでいた子ほど認知能力が高く、
成長してから生活習慣病のリスクが低下するなど

母乳がいかに素晴らしいか、
その偉大な力が認められたことによって

子どもが自ら自然に
おっぱいから離れるのを待つ『卒乳』が
理想だという考え方が
ここ10年ほどで広がり始めました。

WHO・ユニセフ等の国連機関が
2005年に32カ国の代表とともに採択した母乳育児推進の提言、
『イノチェンティ宣言』では

『世界規模の目標となる最適な栄養法とは、
生後6ヶ月間は完全に母乳だけで育て2歳まで母乳を続けることである。
母乳育児に対する社会の意識を高め、周囲の環境を整え、
母乳育児をサポートすることでこうした理想は実現する。
またサポートされることは女性の権利である』

と宣言されました。

こんな国際規模の信用ある団体が提言したからには、
すべてのママができるだけ母乳だけで育てられるように
支援してあげなければならない!と
新米助産師だったわたしは意気込んでいました。

でも・・・
多くのママたちへの支援を続けていくうち、
何かがズレているように思えてきました。

イノチェンティ宣言の
「こうした理想」「女性の権利」ってなんだ?

誰にとっての、
どんな基準での、
理想と権利なんだろう。

また、同宣言にはこんなことも書いてあります。

『哺乳瓶で授乳する文化の侵略から
精力的に防御する必要がある。
このためには社会的に認められた指導者が
その特権と権威などもフルに使って
女性が自分も母乳育児をすることができるのだという自信が
持てるように社会改革に取り組むことが必要』

この文章は
すべての女性が母乳育児をしたがっている前提で
成り立つ話ですよね。

ミルクや哺乳瓶は「侵略」って・・・

冷静に読み進めていくと
ものごっつ過激な表現やないかい!!

世界の有識者たちの会議で作成、承認された
母乳育児の世界規模の宣言に対して、
わたしのような未熟な一助産師が
偉そうに異議を唱えるなんて
何様やねんっ!って感じですけど、

やっぱり・・・なんか違和感があります。

さらには、こんなことも書いてあります。

『女性をエンパワー(力を開花する)し、
自分の権利を行使できるようにしましょう』

WHOは国や人種関係なく、
世界中の人々の健康について
考える立場にある国際団体なので

そこから出される提言や宣言は
本来、疑うまでもなく、
もっとも信頼の置けるものでなければならないはずなんですが

ママは例外なく
全員が母乳育児がしたいはず!

完全母乳による最適な栄養法こそが
赤ちゃんの権利!

え〜〜〜〜その決めつけって、
先入観や固定概念の溢れる
〝人間の権利〟の押し付けじゃないでしょうか?

ところで
日本の厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」
授乳編第5章にはこんなふうに書いてあります。

『赤ちゃんの成長や発達、家庭環境によって
赤ちゃんが母乳を必要としなくなる時期は個人差が出てくる。
そのため「何ヶ月になったら母乳をやめる」といった
時期を決めることは難しい。
早く卒乳する赤ちゃんもいれば、ゆっくりの子もいる』

そうそうそう!
そうですよね!

価値観それぞれなんですよ!!
それが当たり前の話だと思うのです。
(日本、やるな!)

ゆるく母乳育児を続け混合栄養で育てたいという権利を
主張するママだっているし、

ミルクで育てたいママだっている。

WHOの
「全員が母乳で育てられるよう支援すべき」
という考え方だと、

なんらかの理由があって
ミルクが必要なママや赤ちゃんの存在や尊厳は
どうなっちゃうんでしょうか。

〝権利〟っていうのは、
その人のやりたい方法を認め、尊重し、力を貸す
ということではないのですか?

一番大事なのは、
母乳のメリットに裏付けされる
『最適な栄養法』や『権利』より、
もっとシンプルに
ママの気持ちだと思うんです。

やめたい気持ちが勝つのなら卒乳を待たずして
断乳したって全然いい。
そんなことでダメママにはなりません。

そしてやめたくない気持ちが勝つのなら、
長く授乳を続けられるように
周囲はそっと静かに応援してくれたら
それでいいのです。

ママが選択した授乳方法を尊重する。
授乳方法は、極めてプライベートなこと。

母乳であれミルクであれ、
どちらもママたちの主体的な選択であり、
それに対して
周りがごちゃごちゃ言うことじゃないんですよ。

授乳・離乳の支援ガイドでは
母乳育児の継続、終了への支援ポイントとして

「母乳をやめることに対してのママの気持ちを聞く」
「ママ自身がやめたいのか、他人の意見かを見定める」
「子どもへの授乳のこだわりなどを見極める」

など、ママの気持ちに重点を置いています。

そうそうそう!
そうですよね!

価値観それぞれなんですよ!!
それが当たり前の話だと思うのです。
(やっぱり日本、やるな!)

『自分のことは自分で決める』

それこそがエンパワーであり、
本物の育児力だと思います。

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