HISAKOブログHISAKOブログ
2020.08.24

人が繁殖することのメリットとデメリット①

HISAKOさんは
人が繁殖することのメリットとデメリットについて
どう思われますか?

私はメリットがあるのは親だけ。
地球にとっても、周りにとっても、デメリットしかない。

と思っていたのですが、最近HISAKOさんをはじめ、
いろんな方がありがたい動画を配信してくださるので
少しポジティブな気分になってきました。

そしてついに今、妊活中です。32歳です。

授かる前に解決しておきたい問題で、
よし、この考え方なら迷わず産める、育てられる。
と言う状態になりたいのですが
どなたに相談しても腑に落ちる答えが出てきません。

助産師さんであり、12人のママであるHISAKOさんの
ぜひ人の繁殖に対するご意見を
聞かせていただけないでしょうか。

難題かと存じますが
もしご回答いただける内容でしたら
ご検討のほどどうぞよろしくお願いいたします。

↑↑↑

難題です。
間違いなく。(笑)

思っていることを書きます。
長くなりますよ!

わたしは、
新しいいのちが次々生まれてくることや
人の『生』と『性』を肯定する価値観を持っています。

「人間が繁殖するメリットデメリット」

というのは、

生まれてくるいのちそのものに
メリットやデメリットがある

ということなのか

それとも

人類の「生き方」「社会のあり方」に
メリットやデメリットを感じる

ということなのか

どちらなのでしょうか。

人間の自己中心的な文明発達によって
AIの出現や、地球温暖化、それにともなう災害、

最近でいえば新型コロナウイルスなどの
人を脅かす未知のウイルスの出現、
人類がもたらしたリスクというデメリットは
日々実感しますが

そのことと、

生まれてくる新しいいのちの喜びは
まったく別モノだとわたしは考えています。

助産師として産婦人科の現場では
「生まれよう」とする小さないのちの姿を
たくさん見てきました。

生きものの持つ本能としか言いようがない
「生きる」ことへの執着、そのブレない軸に
日々触れていると

「生きよう」とすることの『意味』なんて
考えるだけ無意味だと思わされます。

また、感覚的に『繁殖』という言葉は
種の個体数を後先考えず、動物的に
どんどん増やす意味合いがあり、

「産みたい」「育てたい」という
人としての強い意思を持って子どもを産むことを自ら決意し
行動することは、繁殖ではなく
『生殖』なんじゃないかと・・・

細かくて申し訳ない・・・^_^;

さて。

女性が一生のうちに産む子どもの数
「合計特殊出生率」
2019年の日本は1.36と世界最低水準でした。

一般的には、
高齢結婚が増えて出産の機会を逃してしまうことや
教育費の問題、保育所などの施設が十分に用意されていない
社会の仕組みなどが少子化の要因として語られることが多いです。

「人が繁殖する意味」という哲学的な問題を
抱えておられる方に
原始的な『本能』の話をすると
そういうことじゃなくて・・・と、怒られるかもしれませんが、

生きものは、
何もしなければ、一世代で生涯を終え
地球上から存在すらなくなってしまいます。

だから、繁殖することで
その存在を存続させてきました。

繁殖すること以外、この世に残る方法がないから
何億年もの間、子どもを産むことで
その存在をつなげてきたのですよね。

単純に考えると
繁殖には「特別な理由」なんかなくて

「メリット」「デメリット」という小さなステージで
ちっぽけな人間があーだこーだと議論できるような
レベルの話ではないと思っています。

繁殖とは、もっともっと壮大な話であり
地球が宇宙に出現した日から
休むことなく繰り広げられてきた
生きものにとってのベースラインなんだと思います。

人間を含めた哺乳類は、
飢餓など生命維持の危機が起きたときには排卵が止まり、
本能的なバースコントロールが行われます。

漠然とした将来の不安だったり
自分を取り巻く現実社会の粗に着目して絶望し、

「子どもを産むのをやめよう」
「子どもを産む意味がわからない」

という意思を持ち、
その想いに従って理性で動くことは

進化生態学の見地からは、
人間だけに見られる特殊な行動だと言われていて
意図的な少子化は
「生物としてありえないこと」
だと考えられています。

特殊な行動には、
なにか特殊な理由があるはず・・・

その『理由』をめぐって、
世界の進化生態学者たちは研究を重ねており
いまだ、明確な答えは出ていません。

そういうレベルの話なので

「授かる前に解決しておきたい問題」

だったとしても

学術的な答えは見出せるはずがないだろうし、
誰に聞いても腑に落ちる答えがもらえないのも
当然のことかもしれませんね。

それでも、
人の繁殖(生殖)を、「メリット」「デメリット」という
理論的、理性的な思考回路での解決を求めてしまい、

その問題があなたの中でモヤモヤして
すっきり割り切ることができないのなら、
妊活はストップしたほうがいいのかも・・・とも思います。

なぜなら、
子を産み、育てることは
並大抵のことではないですよ。

どこかに本能的、生理的なところから湧き上がる
ワクワクした希望と期待があるからこそ
子育てをポジティブに楽しむことができるので

「人が繁殖(生殖)するデメリット」

という思考と、子どもを産むこととを
切り離して考えることができず
グラデーションの中に両者が位置して
線引きができないのなら

その妊活の先に待つ出来事は
あなたの本当の気持ちに反する
ネガティブになってしまう可能性があると思います。

いえ、産む前には
なかなか理解できない世界観かもしれません。

経験してはじめて
「そういうことか!」って
なることはたくさんありますよね!

だったら
「案じるより産むが易し」
なのかもしれない~。

確実に言えることは、
わたしたちが暮らす社会が大きく変化したことによって
たくさんの子どもを持つことがいい選択肢ではないと
感じる女性が増えた、ということは
言えるでしょうね。

こんな世の中では、
産んでもどうせうまくいかない・・・

そうした負の感覚が、
「子どもは産まないほうがいい」
「結婚さえもわずらわしい」
と思う人を増やしているのではないでしょうか。

そもそも、人間は、
生物学的には大勢で子育てをするスタイルが
ナチュラルなんです。

昔の日本がそうであったように、
大家族でワイワイ暮らし、
近所みんな巻き込んで子育てをするという特徴を持つ生きもの、
それが人間の自然な姿なんですよね。

ところが今の世の中
核家族化が進み、
子育てはママひとりの肩に大きくのしかかっています。

地域の結びつきも薄れて
何かのときに頼れる
近所のおじちゃんおばちゃんもいません。

無償で子育てに加担してくれるのは
実家ぐらいなもので、
それだって近くに住んでなければ叶わないし、
じいじばあばがそれなりに若くなければ
難しい時代です。

となると、

力になってもらえるのは、幼稚園や保育園ぐらいですが
それも、お金を支払わないとやってもらえないという
リスクが立ちはだかります。

経済的な問題から、
生活を維持するためにママは働かざるを得なくなり

そうすると、ただでさえワンオペ育児なのに、
子どもにじっくり向き合う時間も精神的ゆとりもなくなります。
ますます不安と疲労は増していくだけです。

しかも!

そうやって苦労して育てた子どもが
将来どれだけ幸せになるかも不透明。

人間関係、教育の問題、環境問題、
いろいろ考えたら、メリットなんか見えてこないかも
しれませんよね。

その結果、
「子どもはもういい」
と考えてしまう女性が増えても
しかたがないことだと思います。

さらに、子どもを持たなくても
自分を満たしてくれるたくさんの選択権が
今の社会には山のように準備されています。

習い事もよし、旅行もよし、
ショッピングもよし、外食もよし。

なにより女性の社会進出が進んで
仕事の楽しさを知る女性も増えました。

子育て以上のリターンがある
『わたしたちを満たしてくれる魅力的な刺激』が、
世の中あちこちに転がっているわけです。

昔の女性は、
子どもを産むという選択肢以外の
ほかに自分を高める選択権はありませんでしたが

今の女性は
ある程度の自由を手に入れたと同時に
子どもを産む、産まないという選択肢も
手に入れました。

そう考えると

「人が繁殖(生殖)するデメリット」

に意識が向く時点で

子育てに、もれなくついてくる
想像以上の素晴らしいリターンに
想いを馳せてみることができないほど
すでに人生が満たされてしまっているのか。

もしくは、
社会そのものに幻滅してしまって
自分の存在価値さえもわからなくなっているのか。

少なからず、
そんな側面があるんじゃないかと思います。

つづく

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