HISAKOブログ

亜鉛欠乏母乳

aen 253x405 - 亜鉛欠乏母乳

せいちゃんは、38w 3560g
帝王切開で生まれました。

大きめで生まれたけど、38wの帝王切開なので
入院中あまり上手におっぱいを飲めず、
頻回直母をしながら、体重を増やすためにミルク補足をしていました。

でも、ミルクを与えると爆睡して何をしても起きず
授乳間隔がどーんと開いてしまいます。

根気よく頻回授乳を続ければ
せいちゃんの体力も哺乳テクニックも向上し、
おっぱいの分泌量も増えるはず。

ママは、それを信じて
退院後はなるべくおっぱいで頑張りました。

2週間健診。
体重は退院時から4日間で、まさかの42g減少!
「このままだと入院」と言われ、
ミルク50ml×8回/日を指示されました。

こんなことって・・・。

ママはどうしていいものかわからなくなり
せいちゃんを連れてばぶばぶに来られました。

おっぱいはよく出ています。
授乳の様子、おっぱいの状態から判断しても、
1回量は少なめだけど、頻回授乳でこまめに稼いでいく哺乳方法で
それなりの量は飲めていると判断できました。

飲んだ母乳が体重増加に
反映されていないんですね・・・。
新生児あるあるです。

とはいえ、この時期は体重は増えてもらわないと困ります。
なので、おっぱいだけで頑張りたい
ママの気持ちを尊重しつつ、ひとまず40mlのミルクを
午後から1日に3回補足するようアドバイスしました。

1週間後には、せいちゃんは3時間ごとに起きてくれるようになり
ママ自身も、母乳分泌量が増えてきているように実感しました。
この時点、体重増加49g増/日。
いい感じです!

体重増加率は良好だけど、
急激なミルク補足減量はしません。
慎重に、慎重に・・・
このまま2週間様子を見ました。

2週間後も体重はそれなりに増加傾向。
ミルクは1日1回だけに減量。
1ヶ月健診では25g増/日で、
3875gになりました。

・・・が。
ここからが問題でした。

体重が伸び悩みました。
飲ませても飲ませても思ったほど増えません。
大きく生まれたはずなのに、
母子手帳の発育曲線から、どんどん引き離されていきました。

生後2ヶ月 4690g
生後3ヶ月 5160g
生後4ヶ月 5825g

おしっこはよく出ているし、
発達面もOK。
おっぱいは、どう考えても飲めています。

何だろうなぁ・・・。
発育不良を引き起こす重篤な疾患が潜んでいる?
せいちゃんの体重増加不良の原因となるものは
一体何なのだろうか・・・。

生後5ヶ月の頃から
せいちゃんは頻繁に下痢をするようになりました。
ウンチの回数は1日10回以上になり、
肛門周囲はただれて皮膚炎を発症。

小児科で薬をもらったり、
保湿をしたり、座浴をしたり、
色々対策したものの、皮膚炎はどんどんひどくなっていく一方です。

下痢の原因は何?
栄養不足?
アレルギー?
発育不良による腸内環境の悪化?
免疫不全?

ある日、ママはせいちゃんを皮膚科に連れていきました。
小児科とは違う視点で薬を
処方してもらえるかも・・・と思ったんですね。

すると、皮膚科の先生から
思いがけない一言。

「この子、たぶん亜鉛が足りてへんわ。
亜鉛補充療法してみよか。
お母さん、母乳?
亜鉛欠乏母乳の可能性があるね」

え?
亜鉛?
亜鉛欠乏母乳?

亜鉛は生命活動に欠かせない微量栄養素です。
肉類や魚介類に多く含まれます。

不足すると口内炎、味覚異常、皮膚炎、脱毛、貧血、
下痢、男性性機能障害、風邪を引きやすい、疲れやすい、
集中力の低下などの症状が現れます。

とくに赤ちゃんでは、
正常な細胞分裂、代謝、免疫機能のために
体重あたりで大人より2~3倍の亜鉛を必要とします。

欠乏した場合は、皮膚炎や脱毛、下痢、
体重増加不良などといった重篤な症状を招きます。
胎児期には、胎盤を通してママからもらった亜鉛を
肝臓で貯蔵していて、生まれた後、生後半年以内に
成長のために消費していきますが、

妊娠後期に亜鉛を十分に蓄えられないまま
生まれてしまう早産児や低出生体重児は
元々の貯蔵亜鉛量が少ない分、
出生後の亜鉛欠乏症にも陥りやすいです。

満期産で貯蔵亜鉛が十分にある子でも、
母乳で育っている赤ちゃんに限り、
亜鉛欠乏を起こすことがあり、

発育不良、皮膚炎の発症、下痢、脱毛などの
症状が発現している赤ちゃんたちの、
思った以上の多数に、
皮膚科の先生がおっしゃった『低亜鉛母乳』が
原因しているのではないか?ということが
ここ最近、注目されつつあります。

母乳には、ママの血液の倍以上の濃度で
亜鉛が含まれていて、赤ちゃんの必要量を満たしています。

生後数日の母乳(初乳)の亜鉛濃度は最も高く、
生後1ヶ月で半分以下の濃度まで下がり、
生後半年では、初乳の4分の1以下まで減少するので
当然、母乳だけで育てている場合に
母乳中の亜鉛量が著しく少なければ
赤ちゃんは亜鉛欠乏に陥りますよね。

母乳に含まれる亜鉛は極端に少ないけれど、
だからと言って、ママが亜鉛不足なのか?というと
実はそうじゃないんです。

ママの血清内亜鉛量は正常。
だけど、乳腺で母乳中へ亜鉛を輸送ために働く物質が
遺伝子異常によって機能異常を起こし、
母乳中に亜鉛を運べないことが『低亜鉛母乳』の
原因なのだそうです。

遺伝子の変異が原因だけに、
ママがいくら意識して亜鉛を多く含む食事をしたとしても、
母乳への亜鉛移行はやっぱり行われません。

この病気は『一過性乳児亜鉛欠乏症』として知られますが
発見されたのは2006年。
めっちゃ最近のことです!

わたしも、
亜鉛の必要性、赤ちゃんに不足するとどうなるか、は
知識の中にありましたが、
『亜鉛欠乏性母乳』や、遺伝子の変異ということに関しては
ほぼ知りませんでした。

なので、医師であっても
まだまだ『亜鉛欠乏母乳』の存在を
ご存知ないことも多く、

体重が増えない赤ちゃん、
乳児湿疹がどんどんひどくなっていく赤ちゃん、
脱毛や下痢が続く赤ちゃん、

アトピーだろうか?
何か重篤な疾患が根本にある?

など。。。

はっきりした原因が特定されずに
なんとなくの対処療法が行われるだけで、

『亜鉛欠乏』という根本原因が見逃されている子たちが
日本中に溢れているのではないかと危惧されます。

母乳育児はWHOや厚生労働省により、
世界的に推進されています。

日本では生後6ヶ月まで完全母乳栄養を続けるママが
最近では50%以上にまで増加しています。

このように赤ちゃんに対する母乳栄養が推奨、拡大される中、
亜鉛欠乏母乳の認知が薄い現在では
せいちゃんのような症例はさらに増加することが
予想されます。

ちなみに、せいちゃん。

亜鉛欠乏として当てはまる症状は

完全母乳。
発育不全。
皮膚炎。
下痢。

当てはまらないのは「脱毛」のみ。
(なぜか彼、笑うぐらいフサフサなんですよね~)

ママが言うには、
上の子も完母で育ちましたが、
食べ始める前、おっぱいだけの時代はやたらと体調を崩す子で
あまりにも病気ばかりするので、
これはちょっとおかしい。
精密検査を受けた方がいいかもしれないと
かなり真剣に悩んだ経緯があったそうです。

肺炎、気管支炎、胃腸炎、アデノウイルス、
手足口病に至っては、1シーズンに3回もかかり、
しかも全身に発疹が広がって、たかが手足口病なんだけど
点滴治療適応になるなど

今から考えれば、上の子も、
もしかしたらママの亜鉛欠乏母乳が起因する
一過性乳児亜鉛欠乏症だったのではないか?

亜鉛欠乏による「免疫不全」が原因で
感染しやすかったのではないか?

思い当たる節がたくさんあるんです!

とのことでした。

せいちゃんは、
亜鉛補充療法(ノベルジン)を始めた途端、
2ヶ月間も持続していた下痢が
見事に落ち着いてきました。
同時にお尻の皮膚症状も速やかに改善しました。

せいちゃんママは
母乳を与えるメリットをよくご存知です。
たとえ自分の身体が作る母乳が亜鉛欠乏母乳であったとしても。

なので、今まで通り母乳をあげつつ、
足りない亜鉛を他の方法で補足していくことにしました。

十分な亜鉛含有がなされている人工乳も
上手に足していく。

母乳だけに固執しない、柔軟で前向きな姿勢は
とてもとても素敵だと思いました!

また、「ゆっくりでいいや~」」と考えていた
離乳食も方針変更、即開始!

食べることと、ミルクと、亜鉛補充療法。
3つの柱から亜鉛を摂取していく方法で
せいちゃんは生後7ヶ月、急激にプクプクしてきました!

今後も、せいちゃんがどのような変貌を遂げるか
楽しみです。

現在、日本には隠れた『亜鉛欠乏母乳』のママが
たくさんいらっしゃるはずです。
上記の症状、当てはまり悩んでいらっしゃるママは
一度、亜鉛に注目してみてもいいかもしれません。

ママの血清亜鉛量と、低亜鉛母乳は比例しないと
先ほど説明しましたが、
当然、ママが亜鉛不足に陥っていると
遺伝子異常がない場合でも、母乳への亜鉛移行量は減少するので
母乳育児中のママはしっかり食べましょうね!

貴重な情報をわざわざわたしに伝えるために
小一時間、電車に乗ってばぶばぶに来てくれたせいちゃんママ、
本当にありがとう!

また一つ、博学になりました。
もっともっと勉強します。
どんな質問が来てもちゃんと答えられる助産師になれるよう
研鑽しますね!

 

 

 

 

 

 

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