コロナ感染防止対策と出産現場のリアルな声(3)
「YouTube観てます!」
「ブログ読んでます!」
第12子出産入院中、
ベッドに回ってくる病棟スタッフさんたち、
入院患者さんたちの多くが
わたしの正体をご存知で
嬉しいやら緊張するやらでした。
YouTube、
ただただ役に立ちたい気持ちで
精一杯がんばってるけど
わたし的には今のところ
完成度の高い、納得の動画とはいえないので
そんなふうに言っていただいて
恐縮しかありませんでした。
まだまだ医学知識も足りないし、
表現力もスキルアップが必要だし、
物事を見て考察するだけの視野も狭い・・・
もっと勉強を重ねて
根拠のある内容を
中立な立場で語れるようにならないと
いけないと襟が正されます。
昔、産婦人科医の産婦さんの
お産をとったことがありますが、
採血にしても、 NSTにしても
バイタルの測定にしても
同業者相手だと緊張するんですよね。
相手がHISAKO。
患者となった助産師張本人は
他の患者さんと同じように接してほしいと
願っているのだけど、
そう言われたところで
仕事しにくかっただろうな。(^◇^;)
助産師ではなく、
ひとりの患者として入院していたので
おとなしくしてたのですが
正体は知られているので
トイレやシャワールーム、廊下、デイルームで
すれ違いざまに患者さんたちが
次々に声をかけてくださって、
わたしの目の前でポロポロ泣くんですよね・・・
ひとりやふたりなら
そういうこともあるよね〜
で済ませられるんですが、
メンタルグラグラな患者さんに
出会う頻度が高すぎて
なんかもう、
ママの応援団長としては黙っていられず
数名のスタッフにやんわり探りを入れてみたんです。
「コロナ禍になってから
不安定な患者さんが増えてませんか?
スタッフの前で泣いちゃったりとか・・・」
3週間の入院中に
たくさんの患者さんの
葛藤と悔しさの涙を見てきたことを伝えると
「・・・ええ?
そうなんですか?!」
ああ、やっぱり
そういう反応になるよね・・・。
日々の業務に追われて、
患者の細やかなメンタルにまで気を配っていられない
現状もわかるけど
でも
胎児が無事に育つこと、
無事に出産を終えること、
母子ともに順調に退院の日を迎えること
この場合の「無事」「順調」は
身体のことだけをいうんじゃありません。
コロナ禍の周産期センターだからこそ、
ここに入院している患者さんたちの
表情、声色、会話の間の取り方など
細かく観察し、
必要があれば
隠れている本心をすくい上げてあげられる
暖かく行き届いた声かけスキルが必要だと
思います。
メンタルケアの重要性が謳われる現代において
コロナが上乗せされた制限だらけの状況が
産前産後の女性たちに
どれほどの悪影響を及ぼすか。
考えられた結果の対応が、
立ち合い不可、面会不可、
あれもこれもコロナだからダメダメダメ!
なのでしょうか・・・。
もちろん、
大病院の中に併設される周産期センターなので、
これらの決定は病棟独自の考え方ではなく
病院組織の上層部による
会議で決定された事項が病棟に下りてくるのだと
いうことも知ってます。
スタッフそれぞれの価値観や想い、
温度差はあれど
病棟としては
組織の決定に従うしかないので
勤務スタッフたちにも、
それぞれにモヤモヤした葛藤があるだろうなと思います。
こっそり撮影してるのに気づいても
目をつぶってくださるスタッフもいました。
ありがとうございました。
外部の人間がこんなこと言うのは
余計なお世話かもしれないけど
スタッフの前では気丈にふるまい
決して弱さを見せなくても
表面化しないところで密かに
涙で枕を濡らしている患者さんたちが
いっぱいいるんだよ!
ってことだけは
どうしても伝えておきたかったです。
2020年のリアルな出産現場の状況。
彼女たちの涙に
病院上層部は目を向けているとは
言えないですよね。
いや、病院レベルじゃなくて
都道府県レベルの話、もしかしたら国レベルの
話かもしれませんが。
「事件は会議室で起きているんじゃない!
現場で起きているんだ!」
by 踊る大捜査線
って、わたしは声を大にして
叫びたいですよ!!
規模の大きな病院は
研修医、看護学生、助産学生の
実習の場でもあります。
新生児室には
たくさんの学生さんの姿がありました。
状態が落ち着いている妊産褥婦さんには
担当の学生さんがつくこともあって
通常なら、多くの患者さんが
未来の医療を担う学生さんのお願いを
快く受け入れてくださいます。
でも、今は『通常』ではありません。
わたしと同室だった3人目を出産されたママに
学生さんがついていたのですが、
コロナ禍で、
パパさえ赤ちゃんに会うことを許されていないのに
なんで先に学生が赤ちゃんを抱っこしているの?
パパは病棟内に入れないのに
勉強のためなら学生はOKなの?
優先順位は家族より学生なの?
納得がいかない!
と、おっしゃっていました。
「受け持ちしてもいいですか?」
と聞かれて、
「イヤです!」
なんて言えるわけもなく
表面上は「いいですよ〜」って答えたけど、
家族より学生の実習を優先されたことに
悶々とする・・・と。
せめて、生まれた直後に、
たった10分でもパパに会えて、
赤ちゃんと触れ合う時間を持たせてもらえていたら
学生さんに対して、
きっとこんな感情にはならなかった、
とも、彼女は言ってました。
確かに・・・考えようによっちゃ、
パパが病棟内に入ることがダメなんだったら
学生もダメだよね。
さまざまな考え方があるとは思いますが、
同じくコロナ禍のたったひとりでの帝王切開を
経験した身としては
彼女のモヤモヤは痛いほどよくわかります。
また、病院には
「院内撮影禁止。
SNSなどの画像・映像の投稿を禁止します」
という張り紙がいたるところに
貼ってありました。
確かに、いつどこで何が映り込むか
わからないというリスクがあるので
プライバシーを守るためにも撮影禁止なのは
わかります。
でも、今回の出産・入院で
コロナだからこそ、多くの人々に、
わたしはYouTubeを配信し続けなければ
なりませんでした。
撮影はダメ。
わかってるけど・・・
だって、廊下ですれ違いざまに
患者さんたちが言うんですよ。
「撮影ダメだけど、
でもHISAKOさん!
わたしたちの心の支えはHISAKOさんのYouTubeなの!
どんなに救われていることか・・・!
だからお願い。
なんとか病院でも撮影続けてほしいし、
なんとかYouTube配信し続けてほしい!」
わたしがもっとも大切にしたいのは
がんばるママたちなんです。
わたしが守りたい人たちのお願いを
聞かないわけにいきません。
違反行為承知で
悪者になってもかまわない。
絶対誰にも迷惑かけないように
細心の注意を払いつつ、
まるで犯罪者のようにコソコソと撮影を続けました。
(本当に申し訳ありませんでした!!)
コソコソ撮影したところで
万人が視聴できるYouTube動画が
毎日アップされ続けているわけだから、
「院内で撮影している違反者がいる」ことは
バレバレですよね。^^;
患者さんだけではなく、
多くの助産師さんや医師たちが
観てくださっていたし、
応援してくださっていましたが
病院的には
「はい、アウトー!」です。( ̄▽ ̄;)
ある日、
「周産期センター内、撮影禁止。
SNSなどの画像・映像の投稿をご遠慮いただくよう
お願いいたします」
という書面が患者全員に配られました。
おおおおお〜〜〜〜〜〜
どう考えてもこれ、
わたしのことやーん!
警告・HISAKOに告ぐ!
これ以上動画配信を続けるとしかるべき対応を
させてもらいますよ
ってことですよね。
ごめんね、
動画のアップを楽しみにしてくれているママたち・・・
ほんとにごめん。
イエローカード出されたら
さすがにもう撮影は無理だ・・・(T . T)
妊婦教室も、妊婦健診の同伴も、立ち合いも、
なにもかも中止されて
わからないことだらけの妊娠期間を経て
孤独で不安な出産を迎え、
わからないことだらけの子育てが始まる2020年。
わたしは、ただあなたたちの力に
なりたかっただけなんだよ。
違反しておいてナンですが( ̄▽ ̄;)
足を引っ張られたことが
悔しくてたまりませんでした。
その文書が配られたあと、
廊下で出会う多くの患者さんに
謝られまくりました。
「わたしが無理にお願いしたからです。ごめんなさい」
「HISAKOさんとのツーショット、インスタにあげちゃった。
ごめんなさい」
謝らないで〜!!
あなたたちが悪いんじゃないよ。
こちらこそごめんなさい。
他にも、みなさん
長期の入院で不安がいっぱいで
院内の画像、例えば夕食の画像や
ベッドから見える風景など
SNSに上げることで外の世界との関わりを維持し、
メンタルを保っていた患者さんが大勢いらっしゃったことが
わかりました。
あの文書は、
絶対HISAKOターゲットだったと思うけど、
SNSにあげるな。
撮影禁止。
うーん・・・
わかるんだけど・・・
わたしみたいにド派手にやったら
アカンのかもしれませんが、
みんなの、ささやかな心の支え、
SNS投稿さえ配慮されず、
事務的な「禁止」を貫かれ
社会と遮断されてるコロナ禍の周産期センター
入院中の患者さんの気持ちに
寄り添ってくれないことにモヤモヤモヤ・・・・!!
いや、悪いのはわたしなんです。
ガッツリ違反者だから。(^◇^;)
でも
許可なく他人のお顔をSNSに出しちゃうような
無神経な迷惑投稿じゃないんだし。
みんなの個人的な投稿ぐらい、
制限だらけの環境ゆえ、
許してあげてもよくないか?
そんなこんなでコロナ禍の
12人目出産にまつわる入院生活では
いろんなことを感じました・・・。
考える機会になったし、
勉強にもなりました。
まだまだこれから先も
withコロナ。
過剰に怖がることなく
柔軟に正しく人間らしく
感染予防ができたらいいなと思います。