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2020.07.16

助産院の利用の仕方

「助産院」っていう場所。

妊娠がわかって、
最初に足を運ぶのはたいていの人が
「病院」の産婦人科だと思います。

経産婦さんで、授乳期を経ていらっしゃるママは
助産院についての知識がある状態から
次の妊娠となることもありますが、

初めての妊娠なら
「助産院?なにそれ?」
というのが現実には
ほとんどなのでしょうね。

出産施設を探すとき、
総合病院やクリニックのほか
選択肢のひとつに挙げられるのが助産院です。

ですが、まだまだ助産師という仕事自体、
あまり知られていなかったりもするみたいで

「看護師さんと何が違うの?」
になってしまうのは当然ですよね。

「助産師」をなんとなく知ることになるのは、
妊娠してからのこと。

出産時になってようやく、
「助産師」という職業が
より具体的に見えてきて、

さらに地域で開業している「助産院」を知ることになるのは、
出産後、思いの外母乳育児がうまくいかなかったときに
必要にかられて、調べてはじめて、
その存在を知ることになる
というのが現状だと思います。

ばぶばぶは、分娩を取り扱わない助産院ですが、
全国には分娩に対応してくれる助産院が
たくさんあります。

助産師が管理する9床以下の入院施設のある
助産院もあれば、出張専門で
自宅分娩を介助している助産院もあります。

妊婦健診や新生児の保健指導のほか
正常分娩であれば助産師が医師の指示を必要とせずに
分娩介助ができます。

とはいえ、お産は命がけ。
途中どんなハプニングが起こるかわかりません。
そのため、万が一の事態に備えて
分娩取扱いの助産院では
嘱託医師、連携医療機関が定められています。

助産院で出産できるのは、

単胎妊娠であること、
帝王切開の経験がないこと、
胎盤の位置に問題がないこと、
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、早産傾向、
妊娠35w以降の逆子などの問題がないこと、

妊婦自身に合併症などがなく
妊娠経過に大きな異常がない場合に限られます。

関心のある妊婦さんは
まずは病院で妊娠確定をもらい、
母子手帳交付のタイミング(7wぐらい)で
最寄りの分娩取扱い助産院に連絡してみましょう。

おおむね、高齢初産婦の受け入れは
(定義上は35歳以上だけど印象としては40歳以上かな?)
相談の上になると思います。

妊婦健診には
ひとりひとりにたっぷり時間をとってもらえます。
不安なことや疑問も
ゆったりと相談することができます。

「何か起きたら薬でなんとかしてもらえばいい」
という丸投げな発想では
助産院出産は難しいのですが、

「自己管理もがんばって合併症が起きない努力をしよう」
という意思がある妊婦さんにとっては
食事や生活習慣の指導が丁寧で
出産に向けた健康な体づくりを重視してもらえるのは
心強いかもしれませんね。

なかなかお産が始まらず
出産予定日より1週間以上超過する場合は
胎盤機能の低下の可能性が出てくるため
連携病院へ転院して分娩誘発となります。

助産院でのお産は、医師がいないので
薬剤投与による分娩誘発や陣痛促進などの
医療行為ができません。

もちろん緊急帝王切開や吸引分娩、
無痛分娩などもできません。

そのかわり、分娩台が基本の病院分娩と違って
助産院では普通のお部屋に
布団が敷いてあります。
布団を使っても使わなくても
自由な姿勢で自由な出産が可能です。

大きな病院だと、主治医は決まっていても
妊婦健診のたびに
診てくれる医師が違うことがあったり、
混んでいる産院ではとくに流れ作業的だったりして

医療スタッフとの信頼関係を構築するのは
なかなか難しいです。

外来スタッフと病棟スタッフも異なる場合が
多いので、お産入院で初対面の助産師に
お世話になることも多いです。

それに対し、助産院は
家庭的でアットホームな空間で
妊娠中からしっかり築き上げた助産師との信頼関係のもと
温かい雰囲気の中でリラックスして
出産に挑めるというメリットがあります。

夫や子ども、祖父母、ときには友人でさえも
立ち合いOK。
その家族にとってベストな形のお産を優先するので
妊婦さんがどんなお産をしたいのか、という
希望をできる限り優先してくれます。

上の子同伴入院も可能な助産院が多いので
預け先に困ったときにも安心です。

助産院ばぶばぶのように
分娩を取り扱わない助産院は何をするのか。

産後、十分に体が回復しない中で
頻回な授乳やミルク、泣き止まない赤ちゃんの世話、
目まぐるしい生活が始まります。

ママは慢性寝不足になり、上の子がいる場合は
複数の子どもたちにどうやって
時間や愛情を分散すればいいのかも
迷います。

慣れない生活でつい無理をしてしまい
体調を崩したりメンタルをやられてしまうことも。

そんな一番大変な時期のママを
妊娠中から手厚くサポートするのが
わたしの仕事です。

ひとりひとりの心と体に寄り添った
産前産後のケアの拠点が、ばぶばぶです。

子育てに悩んだとき、母乳育児に不安があるとき、
産前産後をすぎても、あらゆる発達段階の子育ての
相談にママたちが来院されます。

助産院ばぶばぶに通院されているママたちにとって
「かかりつけの助産師」は
助産師HISAKO
だと思いますが、

女性が生涯
生きていく過程で、病院のかかりつけ医を持つとの同じく
かかりつけ助産師を持っておくと
なにかと心強いです。

最近は、
YouTubeを観てくださっている方々にとっても
「かかりつけ助産師はHISAKOさんです」と
言っていただくことが増えてきて
嬉しいかぎりです!

わたしは沖縄にいますが、
イマドキはネット時代!
個人的に相談したい場合は
遠方からでもweb相談システムがありますので
ご利用くださいね!

さて、分娩場所が
自宅から施設に移ったことにより、
失われてしまった古きよいもののひとつに、
妊娠、出産、産褥を通じての
情緒的支援(エモーショナル・サポート)があります。

昔は、産婦さんの家の事情まで知り尽くしたような産婆さんが、
妊婦健診、お産の介助、赤ちゃんのこと、おっぱいのケア、
さらには、今で言うマタニティー・ブルーなどの
精神的ケアに至るまでのすべての面倒を
請け負ってきました。

たとえ、それが個人的な経験に基づくケアで、
現在の助産師のように国家資格に基づいた専門的、
科学的知識、技術でなくても、

産婦さんは、そんな経験豊かな産婆さんに
全幅の信頼を寄せていたことでしょう。

多少おせっかいの気があったとしても、
そこは「あ、うんの呼吸」で
何かあったら傍らに来てくれる、
いつもそばについて励ましてくれる、
そんな安心感を与えてくれた
絶対的な存在が昔はあったのだと思います。

ところが。
病院、産院が主体となった現在の施設分娩では、
仕事が分担されてしまったがために、
産婦さんと助産師との人間的なつながりが
明らかに希薄になってしまいました。

お産で入院しても、産婦さんにとって
出会うスタッフは皆、初めての顔ばかりということも
珍しくありません。

誰かにすがりたい、
恐怖と不安でいっぱいの産婦さんは、
助産師を目で追い求めながらも、

誰に声をかけていいのかも分からないまま
ベッドの上で孤独と苦痛に耐えている・・。

それは、そこに人がいないのではなくて、
心を開ける相手がいないからなんですよね。

わたしは昔、病棟に勤務していましたが
外来妊婦さんと接触するのは
母親学級のときぐらいでした。
(病棟助産婦が母親学級をしていたので)

そのときに個人的に話しかけてきてくれた
妊婦さんのことは印象に残っています。

出産で入院して来られると
その妊婦さんを覚えていることも多くて、
助産師も人間だから、すでに顔見知りになっている
産婦さんとそうでない産婦さんとでは、
同じように接しているつもりでも
声のかけ方ひとつも
違ってきちゃうかもしれません。

いえいえ、決してそんなことがあっては
いけないんですが・・・( ̄∀ ̄*)

最近では、ドゥーラ効果といって、
お産を通してのエモーショナル・サポートが、
帝王切開や吸引分娩、分娩誘発・促進剤などの
薬剤の使用頻度を低下させるということが
実証されています。

いかに助産師と仲良くなって、心を開けるか、が
分娩形式にも関係してくるなんて
ビックリしちゃいますよね。

そんなこともあって、助産院人気が復活の兆しを
見せているのかもしれません。

実際、妊娠中のケアから出産、産褥期までを
ひとりの助産師が関わる助産院では、
異常分娩や薬などに頼らなければならないお産の発生率は、
人間関係の希薄な病院に比べて断然低いという統計があります。

お産はリラックスした気持ちが大事、
心を開ける助産師と一緒に
乗り切って行けたら最高ですよね。

分業が進むと、どうしても産婦さんと深く
関わることは難しくなってしまいます。
だからこそ、わたしたち助産師は、
まずは初対面の産婦さんには必ず自分の名前を名のって、
「一個人としてあなたをケアします!」
という意志を誠心誠意、
伝えなきゃいけないんじゃないかなぁ
って思うんです。

そして現在妊婦のみなさまは、
機会があったらどんどん
助産師と接触を持って仲良くなってみてください。

ばぶばぶだけじゃなく、
多くの「助産院」ならではの利用方法や価値、意義を、
産後になってからではなく
妊娠中からたくさんの人たちに知ってもらえたら、
もっともっと、お役に立てるのに。
妊娠や出産が楽しいものになるのに。
そしたらみんながハッピーになるのに。
と思います。

「かかりつけ助産師」
ぜひ見つけておいてください!

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