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2019.09.09

乳頭痛に耐えて直母をしなくちゃいけないのか?

産後4日目のママ。

3日目あたりから
おっぱいはパンパンに緊満してきました。

赤ちゃんも、少しずつですが
上手にくわることができるようになってきています。
ですが、ヒリヒリした乳頭痛でママは悲鳴をあげています。

せっかく母乳が出ているのだから
直接吸わせたい。
がんばって吸わせるたびに
陣痛かと思うほどの激痛・・・!

乳頭を観察してみると
ざっくり亀裂しているわけではないけれど
乳頭全体がヒリヒリぴりぴりします。

「授乳がこんなにたいへんだとは思わなかった」

これは、産後すぐ、
ママたちがつまずくことの多い
乳頭トラブルのひとつです。

あまりの激痛に吸わせられないという連絡をいただき、
少し乳頭を休ませてあげたほうが
いいと思いました。

彼女のおっぱいを直接診ていないので
なんとも断言はできませんが、

おそらく。

赤ちゃんの浅吸いと、ママのおっぱいの緊満により
乳頭乳輪の組織が硬くなり、
伸展が悪くなっている状態だと思います。

授乳前に乳輪・乳頭をマッサージ(搾乳も可)して、
柔らかくしてから直母。
そして乳頭の保湿を勧めましたが、
マッサージ後の直母でも激痛だということでした。

水泡・出血はないものの、
乳頭全体の浮腫・皮膚が薄くなり
皮膚のバリア機能が今にも破壊しそうな状態だろうと
推測しました。

無理に吸わせ続けて良いことはありません。
もっと重度の乳頭トラブルに発展するか、
ママのメンタルが崩れ
マタニティーブルーズ一直線です。

そもそも、少々直母をお休みしたぐらいで
母乳は出なくなりません。
搾乳の刺激は、赤ちゃんが直接吸うのには劣るものの、
分泌維持、促進のために十分有効な手段です。

ママには、
今晩は、朝まで搾乳して哺乳瓶で赤ちゃんに
飲ませるよう伝えました。
朝までに60cc×2回が理想だけど
1回の搾乳は15分以内。
60ccとれなくても、時間決めで切り上げるように。
少量ずつの搾乳でこまめに与えてもOK。

夜中、何度かお部屋に助産師が来たそうです。

「なぜ搾乳しているのか?」と聞かれたので
彼女は乳頭が痛すぎて無理だからと答えました。

すると助産師は乳頭を診ることもなく

「でも直接吸わせないと。
赤ちゃんには直接飲ませることが一番いいんだから。
痛くても吸わせて」

と言ったそうです。

仮に、擦り傷ができている箇所を
思いっきりぎゅ~~とつねったら
飛び上がるほど痛いですよね。

その痛みに何度でも耐えなさい、
あなたはその痛みを我慢すべきです、
だってママになったんでしょう?

って言われたらどうですか?
いったいなんの苦行やねんー。

また、なにをもって
「赤ちゃんのために直母が一番よい」
とおっしゃったのかわかりませんが、

哺乳瓶を使ったからといって
ママのおっぱいの状態がよい方向に維持、改善
されてさえいれば、
いわゆる「乳頭混乱」と言われるような
直母拒否にはなりませんよ。

それに、
直接吸わせることがナンバーワンで
搾乳がナンバーツーで
ミルクが最下位、とか
優劣などつけられない!

どんな方法も、赤ちゃんにとっては
空腹を満たす幸せであって、
一番いい方法、なんてありませんからっ!

物事はいつも
理想の通りにはなりません。
そもそも、その「理想」だって
人それぞれ目指すところは違いますよね。

それぞれが目指す、理想のとおりには
なかなかならないからこそ
現時点でベターと思われる方法を工夫し
少し回り道しながら
理想に近づけていくお手伝いをする・・・

それが助産師の役割だと思うのです。

山の頂上には、赤ちゃんだけが立つのではありません。
赤ちゃんとママ、2人はいつだってセットです。
手と手を取り合って、一緒に頂上を目指すことが
大事なのです。

ママの心は・・・?
置き去りですか?

ママには激痛を我慢してもらって
赤ちゃんだけ頂上に誘導・・・
それは指導として不足だと思います。

慣れない授乳、一生懸命にがんばったから
苦痛なほどの痛みになったのですよね。

まずは
「こんなになるまでよくがんばったね」

彼女の努力を
ねぎらってあげるべきでしょう。

そんなママの努力には一切触れず、
痛くてもさらにがんばれと言うのですか?
もう十分がんばってるのに。

「乳頭が痛いからって
ママが楽をしたらおっぱいが出なくなるよ」

追い詰めるような言動を
してしまう助産師もおられます。

「痛みに負けたら失格」
のニュアンスがプンプン漂ってきます・・・。
こういう助産師の言動は
ママの苦痛を強めることはあっても救いにはなりませんね。

乳頭痛に対して
多くの助産師はその場しのぎの
「テクニック」で解決しようとしてしまいます。

深くくわえさせるポジショニングを試したり、
乳頭にランシノーをつけて保湿保護してみたり。

それらのテクニック指導は
間違っているわけではありません。

実際、乳頭痛は、
深く吸い付かせるというテクニックで
改善することもあります。

ですが、この考え方は
赤ちゃんが「浅く吸いたい」という意思を持っているときには
まるで的外れな指導になってしまうでしょうね。

授乳前に乳輪・乳頭を柔らかくし、
抱き方、くわえさせ方(ポジショニング・ラッチオン)に気をつけても、
乳頭痛を訴えるママもおられます。

多くは初産婦さんです。
初産婦さんと経産婦さんでは、
母乳栄養の進み方の過程が根本的に異なります。

経産婦さんは、過去に直母を経験しているので
もともと乳輪・乳頭の組織が柔軟で、
伸展がよい人が多いです。
すると赤ちゃんも吸いやすいから、
母乳栄養の立ち上がりが早くなることが多いです。

初産婦さんだと
乳輪・乳頭が柔らかくなってくるのは
おおよそ産後3週間目ぐらいではないでしょうか。

飲みやすいおっぱいの状態に変化してくるまで、
乳頭痛の程度と相談しながら
できる範囲での直母にとどめ、
痛みが強いときは搾乳で乗り切ることは
賢い方法だと思います。

経産婦さんの赤ちゃんは
退院時の体重増加率も良好な印象があります。

それに比べ、初産婦さんの赤ちゃんは、
退院時にはまだ体重増加のスイッチは入っていない
子も多いです。

ちょっと遅れて生後3週間目ぐらいから、
ちょうどママのおっぱいの状態がよくなってくるぐらいから
いきなり体重増加期に入ることも珍しくありません。

『ゆっくりさん』の
生後まもない頃の吸い方を観察してみると
チュクチュクという浅い吸い方が多いです。

浅吸いは、乳頭の先が
赤ちゃんのお口の途中で
止まってしまい、過剰な圧がかかるので
とても激しい痛みを感じたり
傷ができてしまったりするわけです。

そんな吸い方で
1日に何度もチュクチュクするのですから
ママにしてみれば拷問!
直接吸われることへの恐怖感が
どんどん強くなっていきます。

チュクチュクの浅吸いのときは
赤ちゃんはそうしたいからそうしているのであって、
どんなに深くくわえさせようと介助しても
赤ちゃんは意図的に舌で押し出して浅めにしたり、
のけぞって深吸いに抵抗しようとします。

射乳反射が起きる時期になると
自然と赤ちゃんも乳輪まで巻き込むような吸い方に
変わってくるので、乳頭は赤ちゃんのお口の奥のほうまで
しっかり巻き込まれるため痛みは感じません。

なぜ赤ちゃんが浅吸いするのか。
なぜ赤ちゃんがグズるのか。
おっぱいは現在どういう状態で、
今後どのように変わっていく可能性があるのか。

総合的、かつ予測的に判断することで
乳頭痛への指導は変わってくると思います。

本当は、産後4日目という
『目先』の問題解決だけに着目するのではなくて
もっと先の赤ちゃんの変化と、ママの乳房の変化を
予測した柔軟性のある対応が求められます。

そうすれば、ただ抱き方や
くわえさせ方のテクニックで解決しようとしたところで
まったく無意味であるどころか、
ママを追い詰める場合もある・・・ということが
見えてくるでしょう。

今の苦痛だけに向き合うのではなく、
もっと先、1週間、2週間、3週間先に
赤ちゃんとママがどう変化していくことが予測できるのか、

先の見通しをママに伝えることができれば
目先だけではなく大きな視野で
今の苦痛を乗り越えられるのかもしれない
と思います。

ということで!

痛すぎるときは搾乳で乗り切りましょう!
直母ができなくても
No problem!

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