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2020.01.31

発達障害の子どもが急増している(2)

「言葉で人に伝えるのが苦手」
「衝動的に動いてしまう」「空気を読めない」「こだわりが強い」
「感情のコントロールが下手」
「人見知りがハンパない」「人との距離感が近い」
「ザワザワした場所が苦手」「運動が苦手で不器用」
「ぼーっとしてミスが多い」・・・

上記に挙げたのは、いわゆる『特性』と呼ばれる
症状のごく一部ですが、

冷静に考えてみれば、
人間には必ず個性があって、
みんなが上記のどれか「傾向としてあるよな・・・」
って感じるんじゃないかと思うのです。

子どもは、全員が同じペースで同じように
成長するわけではありません。
ちょっとずつみんな違っているのは
ごく自然なことですよね。

昔は、ごく一般的な子どもとちょっと違う
〝変わった子〟に向けられる世間の目は冷やかでした。

親の育て方の問題
家庭環境のせい
しつけができていない

など、『育て方』に後ろ指を指されることも多く、
当事者のママたちはさぞ辛かっただろうと思います。

〝変わった子〟〝育てにくい子〟
漠然とした異質感を確信していても

「あなたの育て方のせいだよね」

という偏見の目にさらされることが怖くて、
受診を拒む保護者も多かったと聞きます。

でも今は
ママたちの捉え方もずいぶん変わりました。

自らすすんで検査や診察を受けたいと
子どもを専門機関に連れて行くケースも増えています。

実際わたしは、
ななを児童精神科受診させるまでは

自分の子育てが悪かった?
愛情不足?
完ぺきな育児ができている自信なんてまったくないし
(そもそも何をもって完ぺきかはわかりませんが)
ななの突拍子もない言動の数々は
すべてママであるわたしのせいなのかもしれない

という思いに
ずっと苛まれていました。

「これはななちゃんの脳の機能上の問題であり、
あなたのせいではないよ。
お母さん、いままでよくがんばって来たね」

第三者(医師)に改めて言ってもらったとき
やっと心が救われました。
楽になれた気がしました。

さらに『自閉症スペクトラム症』の診断名をもらうことで
ななの特性を本当の意味で前向きに受け入れることが
できるようになり、

「警戒心が強い」→観察力がある
「感情コントロールが苦手」→誰よりも豊かな感受性の持ち主

特性を否ととらえて改善させようとするよりも
それらをななの持つ宝だと考えて
いい方向に伸ばしてあげようと思えるようになりました。

でも、問題は山積みしています。
子どもが毎日過ごす場所は、
家庭だけじゃないですから。

こういう子たちを大きく包み込んでくれる
しっかりとしたバックボーンのある
受け入れ先が少なすぎます・・・。

そして、そういう場所は
すでに悲鳴をあげています。

例えば、学校。

クラス担任は大量の業務に忙殺されて
パツンパツンです。

やることだらけの毎日、
そんな中で、クラスの子が発達障害だと診断されたら
その子だけの特別の指導体制をとらなければ
ならなくなります。

子どもの発達についてよく勉強されていて
豊富な知識を持っていらっしゃる先生も
一定数います。

だけど、鋭くその子を観察し、
特性や行動のパターンを的確にアセスメントして
的確な関わり方をするには、
教科書どおりの知識だけじゃうまくいきません。

経験値や、ハイレベルなソーシャルスキル、
また、先生自身のメンタル的な強さ、
処理能力の高さが求められます。

基本、学校の先生は
発達支援のプロフェッショナルではありません。
特別支援学級の先生でさえです。

なので、支援が必要な子どもへの関わりは
学校では手探りで進んでいくのが
一般的なんです。

ほとんどの学校現場には、
通級指導を受ける子に対応できるだけの
人的資源も対応ノウハウも存在しません。

うちの小学校なんか、
もっとも高いスキルを求められるはずの
発達支援学級担当の先生が
音楽の教科担任と兼任ですから!

そんな中途半端な体制で
どうやって並外れて敏感でストレスを溜めやすい
発達障害の子どもたちを
腰を据えて見きれるのか・・・

その結果、ななは、
ちょっと先生が目を離した途端、
いきなり興奮して
教室から出ていってしまったり、

鍵をかけてひとり立てこもり、
他の子たちを教室に入れない
という問題行動を何度も繰り返しました。

合理的配慮が必要な子であるからには、
担任も「いいかげんにしなさい!」と
強く叱責するわけにもいきません。

それでも先生は、
自分の感情を抑えて、
特性ある子に寄り添わなければならないのです。

そして、特別な教育体制に意識を集中すれば
他の子どもたちの授業がストップしてしまいます。
不公平だと文句を言いだす子どもだっているでしょう。

「クラス全員で
ななちゃんのことを理解しましょうね♡」

→「はいもちろん、みんなで寄り添います♡」

特性のある子がいることで
クラスの一致団結できれば大成功ですが、
実質的にそんなキレイな夢物語を叶えるには
ハードルが高いと思います。

絶対的に不足する
人的資源と対応ノウハウ・・・そんな今の教育現場では
クラスの土台が掘り崩されて
破綻や崩壊への方向へ進むことだって
十分にあり得ます。

なな、5年生の2学期、
とうとう担任の先生が容量オーバーに
なってしまいました。

問題行動を起こすななへの配慮とクラスの統括
担任ひとりでこの状況を
どうまとめていけばいいのか・・・
悩まれたことと思います。
本当にたいへんだっただろうな・・・。

それを受けて学校は、

教員一丸、ななちゃんに向き合っていきます。
担任だけの重責にならないように、
チームで支えます!

という意思を示してくださいました。

発達障害児の母としては、
担任はじめ、支援学級の先生、教頭、校長・・・
小学校の先生たちには
感謝と申し訳なさでいっぱいでした。

あっちでも、こっちでも
『発達障害』っていうワードが
一人歩きしていています。

診断されたにせよ、グレーゾーンにせよ、定型発達にせよ、

子どもごとにアプローチが異なる心理療法を
手がけるプロが十分にいるわけでもないし、
特効薬があるわけでもありません。

毎年どんどん増えている発達障害児の多くは

その子の特性を理解してあげましょう。
その子の生きやすさを配慮してあげましょう。
ありのままのその子を受け入れてあげましょう。

という方向で支援されるので、

小学校以降は、
通級指導や特別支援学級への入級、

〝特性に合わせた特別な教育体制〟
を、保護者が希望するケースが急増するわけです。

沖縄の校長先生が

「適切な指導スキルを持った先生のもと、
本来なら公立小学校の通常学級で
十分やっていけるレベルの子たちが
軒並み支援学級を希望するので、
支援学級が溢れかえってしまう。

そのしわ寄せとして、本来公立小学校の
特別支援学級で学ぶべき子どもたちが
特別支援学校へと押し出されてしまうという
教育現場の縮図があるんだよ」

と、おっしゃっていたのが印象的でした。

なんでもかんでも『発達障害』と
騒ぎ立てるのも違うと思うけど、
かといって、社会性の欠如が目立つ子を
昔のようにスルーしていいとも思いません。

その点、今は社会全体が
さまざまな特性を受け入れようとしています。
それは大きな進歩です。

ななのような特性を持つ子を
学校が万全の体制で見ていくために、

そして、
担任だけに負担の集中がないように

各公立小中学校には、
発達支援教育を専門で学んだエキスパート教員を
配置する必要性があると思います。

芋の子洗い状態の
ぎゅうぎゅう詰めの45人学級・・・
そんな時代は終わったわ!って思います。

1クラスあたりの子どもの数を20人ぐらいまで減らして
そのぶん先生の数をもっと増やすべき!

最近増えてるとはいえ、
大多数は定型発達児です。

少数の発達障害の子のために
そこまでやる・・・?

という意見もあるかもしれません。

現場の先生たち、
そして、発達障害の子どもを育てている
現在進行形の親たち以外の
賛同を得るのは難しいという現実もわかります。

でもわたしは、
教育に投じる国の予算を大幅に引き上げてでも、
取り組むべき社会問題なんじゃないかと
思うんですよね。

発達支援を軸とした子どもへの関わり方や教育法は、
定型発達の子どもたちにとっても
圧倒的に質の高い学びを提供できると
確信しているからです。

そして、長い目で見たとき、
それは未来の日本の国力の増強に
必ずつながっていくと思います。

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