HISAKOブログ

哺乳瓶は悪なのか?

milk 1 - 哺乳瓶は悪なのか?

「月齢の低いうちに哺乳瓶を使うと、
人工乳首とママのおっぱいの吸い方の
使い分けに混乱をきたし
おっぱいを拒否するようになってしまう」

いわゆる『乳頭混乱』
と呼ばれる現象です。

わたしが助産師になった1997年。
その頃にはすでに
低月齢の赤ちゃんに哺乳瓶を常用すると
直接授乳に支障をきたすことが
助産師の間でささやかれていましたが

『乳頭混乱』という言葉は
まだ誰も使っていなかったように記憶しています。

『乳頭混乱』や『母乳信仰』と呼ばれるような
母乳最優先の考え方が一人歩きを始めたのは

1989年
WHO『母乳育児を成功させるための10か条』の
なかに記載してある

『母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えない』

が発端だったのではないかと思います。

乳頭混乱を起こすから
「与えていいのは母乳だけ」ということですよね。

『乳頭混乱』を防ぐため
母乳を飲んでいる赤ちゃんに
ゴムの乳首やおしゃぶりを与えない代わりに

WHOは赤ちゃんにミルクや搾乳を飲ませるとき
哺乳瓶を使わずに、
小さなコップ(またはスプーン)を使って
少しずつ飲ませる方法
『カップフィーディング』を推奨しています。

赤ちゃんを座らせるように抱き、
搾乳やミルクをコップ(またはスプーン)に入れ
赤ちゃんの下唇にちょこっと触れる状態で静止します。
すると赤ちゃんは唇と舌を使って
コップの中身を自力で口の中に取り込みます。

カップフィーリングの理論
メカニズムとしてはなるほどと思うのですが

個人的な実感としてはカップフィーディングって
上記の説明ほど簡単ではないですよ。

「飲んでほしい」
神に祈るようなママの気持ちを抑え、
口の中に流し込まずに赤ちゃんの吸着行動に
合わせてひたすら「待つ」方法なので
途方もない時間と根気が必要です。

家事を誰かがしてくれる
恵まれた環境で子育てしているママだったら
できなくもないかもしれないけど
(いや、それでも無理かな・・・)

生活というわたしたちの毎日を考えた場合に
現実的な方法ではないと思います。

WHOはカップフィーディングを勧めていますが

2007年厚生労働省
『授乳・離乳の支援ガイド』には

「咀嚼機能の発達の観点から考えると
生後5~7ヶ月頃にかけて
哺乳反射が減弱、消失していく過程で
スプーンなどが口に入ることが受け入れられていくので
スプーン等の使用は離乳の開始以降でよい」

と書いてあるんです。

スプーン(コップ)を生後6ヶ月までの赤ちゃんに
勧めない科学的理由を
上記のように説明しているわけです。

つまり、

月齢の低い赤ちゃんは、
乳首を舌で巻き込むような動きをしなければ
上手に飲み込むことができないのです。

口の中に入ってきた搾乳やミルクを
処理する機能が未熟なんだから
いくらコップやスプーン使っても
口から溢れてくるだけで無意味だよ〜

ってことが書いてあるのです。

だとすると、
舌で巻き込めないカップフィーディングが
難しい(適切ではない)のは当たり前ですね。
赤ちゃんの生理学的哺乳行動を無視した
方法だということやもんねぇ・・・^^;

どっちの理論を信じたらいいんでしょうか。
混乱してまいますっ!!(◎_◎;)

母乳にもミルクにも
それぞれメリット、デメリットがあるので

『母乳を飲んでいる赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりを与えない』

WHO『育児を成功させるための10か条』の一文は
ちょっと行き過ぎた表現だと感じます。

読んだ人たちは、
この文面をどのように解釈するのかな・・・

絶大な影響力のある国際的組織の提言だからこそ、
文面を掘り下げ、噛み砕いて
正しい解釈として理解する必要あると思うのです。

たしかに、
哺乳瓶を使う回数が多ければ
赤ちゃんが直母を嫌がるようになるケースは存在します。

でもそれは、
必ずしも哺乳瓶を使うこと自体が
母乳育児に決定的な弊害をもたらした結果なのでしょうか。

哺乳瓶選びでは
ミルクが出過ぎないもの、
赤ちゃんが15分ぐらい
時間をかけて飲めることが大事です。

瓶を傾けただけでピューとミルクが飛び出す哺乳瓶だと
赤ちゃんがチュクチュクする時間を
待ってあげることができません。

ウォーミングアップなしに
いきなり全速力で走れ!
っていうのがピューっと出てくる哺乳瓶です。

哺乳瓶を使うことで起こり得る
『乳頭混乱』の本当の意味は

人工乳首とママの乳頭の吸い方
使い分けに混乱をきたし
赤ちゃんは直母を拒絶したり上手に飲めなくなってしまう

のではなく、

哺乳瓶を使うことで
赤ちゃんへの直母の回数が減ってしまうことが
大きく関係しているのではないかと
わたしは思っています。

直母が減れば、
ママのおっぱいはうっ滞気味になり、
乳輪・乳頭の組織が硬く伸びが悪くなります。
赤ちゃんにとって飲みやすいおっぱいでは
なくなってしまいます。

また、ミルクを足せば足すだけ
母乳の分泌量は減ってきます。
重要と供給は合わなくなるのだから
赤ちゃんが嫌がって当然ですね。

哺乳瓶を使うことがダメなんじゃないです。
哺乳瓶を使っても母乳は飲めなくなりません。
直母の回数を減らしてしまうことが
『乳頭混乱』の最大の理由です!

もし、生まれた直後からコップやスプーンで
うまく飲めれば
哺乳瓶なんてそもそも不必要。
ニーズがなければ研究開発されることも
なかったでしょうね。

でも、現実として哺乳瓶は存在します。
よりよい商品がどんどん発売されています。

それはなぜでしょうか。

赤ちゃんの成長発達に合った授乳方法が
求められてきたからに他ならないと思います。

 

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