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縦切り?それとも横切り? 〜帝王切開〜

Te02 - 縦切り?それとも横切り? 〜帝王切開〜

5日後に帝王切開を控え、

医師から

「縦切り〜?横切り〜?
どっちがいい?
手術までに考えといて」

と言われています。

帝王切開の際に
おなかを縦に切るか
それとも横に切るか。

いわゆる、
『縦切り』『横切り』
とよく話題にされるのは

『おなかの〝皮膚〟の切り方』
のことを指します。

おなかの筋肉(腹筋)や腱は、
縦方向に走っています。

なので皮膚とその下にある皮下脂肪を縦に切れば
そのまま延長上で腹筋を縦方向に
左右に分けられて効率がいいですよね。

皮膚と皮下脂肪を横に切ったはいいけど、
丁寧に開腹しよう思ったら
腹筋は縦に分ける必要があります。

となると、

皮下脂肪と腹筋の隙間にある「筋膜」を
剥離する一手間が増えることになるんです。

ええい、めんどくさい!
腹筋の縦走行無視して
皮膚・皮下脂肪の横切開の延長上に
筋肉の神経繊維を横にブっ切ってしまえ!

という乱雑なやり方もあるのですが(^^;

それやっちゃうと、
術後におなかに力が入らなく
なっちゃったりすることもあるわけで・・・。

ということで、
皮膚縦切開に比べて皮膚横切開は
工程がひとつ増えるために
赤ちゃん娩出までにちょっと時間がかかります。

そして、皮下脂肪と筋膜の剥離が
術後の痛みを誘発するので
若干、縦切りより横切りのほうが
産後が辛い・・・とも言われています。

手術の容易さ、胎児娩出までの時間、
術後の痛みなど、医学的な機能面重視の視点からいうと
縦切りのほうが自然で出血も少なく
術野も広くとれて優れているといえると思います。

おへその下から陰毛まで
縦に傷跡が残ってしまい、後々に目立ってしまうと
いうデメリットはありますが、

術中に何か問題が起きた時にも
傷の延長が可能なので
どんなケースにおいても柔軟で安全な
対応が可能だし、
超緊急時には傷痕うんぬん
そんなこと言ってられないからね。

医学的見地からは

『最優先は安全!』=皮膚縦切り

になりますね。

横切開は陰毛のすぐ上を切るので
パンツで隠れるし、傷が目立ちにくいです。

胎児が十分に成熟した32w以降で
生死にかかわる超緊急帝王切開でないかぎり、

皮膚の切開方法は
縦でも、横でも、妊婦さんの希望で
自由に選択できる場合が多いです。

分娩途中で赤ちゃんの心拍が下がってしまうなど、
胎児機能不全による
緊急帝王切開でも、緊急度がそこまで高くなければ
横切開を選択することは十分可能。

縦でも横でも
どちらも10cmぐらい切開するのは同じですが、
最近は美容面を考慮して横切りが主流に
なってきています。

安全面とか手術のしやすさとか、
将来の反復開腹手術の可能性とか考えたら

医師としては

「縦の方が嬉しいな〜」

なんでしょうけど、

その一方で

縦切り VS 横切り
どっちがいい?

というのを
妊婦さんに選択してもらうときに、

美容面の話だけ偏って
伝えられるようなケースも多いようで

「横の方が傷がキレイ!」

それだけ説明されたら
妊婦さんは迷わず横切りを選ぶでしょう。

でも実は、
あまり語られないようですが

安易に横切開を選んだばかりに
次回妊娠のときの妊娠経過、
帝王切開の緊急度によって
母子に大きな危険をもたらすケースがあるんです。

そういう事実があることを
妊婦さんにはきちんと伝えた上で

縦か横か選んでもらうべきじゃないかと
思います。

帝王切開を繰り返せば
子宮についた傷と腸などの隣接する臓器が
癒着する頻度が上がります。

そうすると癒着を剥がしててから
赤ちゃんを取り出すめんどうな手術になります。

その場合、癒着部位を確実に剥離するには
術野が広くとれることが必須になります。

皮膚と皮下脂肪は横切りで、
腹筋は縦切りで、
子宮は横切りで・・・

となると、術野が狭くなるので

結局、皮膚から腹筋まで全部縦切開で
広い術野を確保するという作業が必要になり、

前回の横切開に加え、
その中央から上に、
逆T字切開になってしまうことがあるわけです。

運良く癒着がなければ
次回帝王切開でも
皮膚の横切りを繰り返しても
大丈夫かもしれないけど、

反復帝王切開を重ねれば重ねるほどに
癒着頻度は上がるため、
縦切り必須になります。

・・・つまり、逆T字に
2本の傷がつくことになります。

そして将来的に、
何か開腹手術を受けることになったときには
おなかの皮膚、皮下脂肪、腹筋は
すべて縦切りです。

悠長に横切りを選択できるのは
帝王切開のときだけなんですね。

いつか、帝王切開以外の手術、となったときには
過去の帝王切開の横傷が
じゃまになってしまうこともあったりして

だったら最初から縦切りにしておけば、
今後、病気などで開腹するときにも
同じところを切れて効率的、
かつ患者さんへの負担が少ない。

このように、単に美容面だけではなく
さまざまな側面を考慮すると

産院の方針として、
縦切り帝王切開を推奨する
施設もあるようです。

そしてもうひとつ

大事なのは皮膚の切り方以上に
子宮筋の切開方法です。

皮膚・皮下脂肪の切り方は、
縦だったり横だったり比較的
自由度が高いけど

子宮そのものは
下部(子宮口に近いところ)を
横に切開するのが基本です。

子宮体部は収縮しますが
子宮下部は収縮しにくいという特性があるので

収縮する子宮体部をざっくり切開すれば
次回妊娠で子宮内膜が薄くなって
子宮破裂のリスクが高くなります。

また、切開した部分の内膜が薄くなっていると
次回妊娠時、受精卵が適切な内膜の位置に
着床しづらくなり、

結果として子宮下部に着床すれば
そこに胎盤を形成することになるので
前置胎盤、低置胎盤のリスクが上がって
しまいます。

なので、次回の妊娠を考慮すると
できるだけ子宮体部には
傷はつけたくないわけです。

もっともダメージが少なく、安全なのは
子宮下部の横切開。

つまり、
おなかの皮膚や皮下組織の切開方法と
子宮の切開方法は別物だと
考えてください。

次回妊娠を考えると
子宮筋の切開方法は
皮膚や皮下脂肪の切開方法以上に
とても重要な情報になるのです。

子宮体部(上のほう)の筋肉の走行は縦。
子宮下部(子宮口付近)の筋肉の走行は横。

例外的に
早産での帝王切開で、赤ちゃんが小さく
超緊急に赤ちゃんを出さないといけないときや

前置胎盤(胎盤が産道をふさぐ位置にある)
など手術が難しいケースでは
子宮体部(上のほう)を筋肉の走行に沿って
やむなく縦切開することもあります。

次回の妊娠のことを考えたら
本当は子宮は横切開がいいけど、

そんな先のことまで考えるゆとりがない
緊迫した帝王切開では
子宮も大きく縦切開しなければならない
ケースもあります。

あるいは、いったん子宮を横切開しても
赤ちゃんの娩出に手間取るときなどは
横切開中央から上に縦切開(逆T字切開)を
加えることもあります。

妊婦さん自身が縦か横か選べるのは
おなかの皮膚の切開方法だけ。

子宮の切開方法については
選択の余地はありません。

基本、下部横切開。
場合によって体部縦切開になることもある、
ということですね。

あ、ちなみに!

帝王切開後の経膣分娩(VBAC)
を考える場合には

皮膚→横切開
子宮→下部横切開

であることがVBACの条件になります。

皮膚を縦切開してしまうと
次回妊娠では絶対に反復帝王切開になります。

そこも考えた上で、縦か横か
決めるようにしてくださいね!

さてさて。
来週の帝王切開、
わたしはどちらで攻めましょうか。

MARKに相談したら

「13人目を考えて、当然横でしょ!」

だそうです。

え?
VBAC考えてるってこと?

ちゅーか、13人目って・・・
アホちゃうーーー( ̄◇ ̄;)

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