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2017.12.05

徳之島で感じたこと

コテコテの大阪弁が飛び交う日常が戻ってきました。
出張明けのばぶばぶは、大にぎわいです。

今回の徳之島出張では、
言葉にできないほどの多くの実りを
大阪に持ち帰ることができました。

1週間がっつり、
島の人たちのコミュニティーの中に溶け込み、
親密に交流させていただいたことで

都会のメリット、デメリット
いなかのメリット、デメリット

それぞれの社会の特性や、
それぞれの抱える問題を
リアルに肌で感じることができました。

観光で訪れたのでは決して見えてこない部分。
現地に入り込んで直接的に見聞きしたことの数々は
確実に、わたしの感受力のレベルをあげることに
つながったと思います。

いなかでは、大人も子どもも
その狭い環境の中で押しつけられる『普通』に
苦しまされていることが印象的でした。

「ここは、子宝の島だけど、
子育ての島ではないんです」

という、やるせないママの声に
心をゆさぶられました。

広々とした静かな空間、青い空、白い雲、美しい海、
おいしい空気、ゆったりした時間の流れ・・・

普段、都会で生活しているわたしにとっては、
南の島は異次元の世界で
時間に追われる多忙な毎日で溜め込んだストレスは
温暖な自然の中でみるみるほどけていくのを感じました。

全身の細胞が深呼吸しているような
不思議な感覚・・・

ああ〜心が洗われる。
本当にいいところ・・・!!!

でも、その感覚はおそらく
あくまでも、よそ者の短絡的なものなんです。

ここに生活基盤を置く島人のスタンスで考えると
また違う側面の背景が見えてきます。

今回、多数の小中学校で『いのちの授業』を
させていただきましたが、
島の子たちの抱える憂鬱に胸がしめつけられました。

中学生ぐらいになってくると
精神年齢が上がるゆえに、田舎ならではの暗部が
見えるようになってきて

「変わったことをすれば叩かれる文化」

にぶつかります。

目立ったことをすると、あっという間に噂になります。
どこで誰が誰と何をしていたか、なんて筒抜けです。
問題児、変わり者のレッテルは、Twitterより早いスピードで
町中に知れ渡ります。

しかも、噂には当然、余計な色がつけられ、
あることないこと、ねじ曲がった形で竜巻みたいに
暴れまわることも珍しくないので、
多感な中学生なら、窮屈な環境が息苦しくなり、
人間不信に陥ることもあるでしょう。

いいように考えれば
変わったことがあると噂になること、
地域のつながりが密接なのは、
治安のよさを保つのに一役買っているとも言えると思います。

世話好きで温かみがある人々、
その反面、いなかに暮らすのは、表裏一体です。

無遠慮さやプライバシー観念の欠如は
おおらかなようで、実は保守的で閉鎖的で、
都会よりずっと生きづらい社会とも言えるかもしれないと思いました。

「普通」じゃないと怪しがられ、
「普通」じゃないと無遠慮な憶測が広がり
「普通」じゃないと、普通になったほうが幸せだと諭され・・・

いわゆる「普通」とされる人生を平凡に歩めない人は
「変わってる」「かわいそう」
周囲の勝手な評価が風の便りとなって
本人の耳に間接的に入ってきます。

大人でも、それを笑って聞き流し、
自分の軸をずらすことなく堂々と生きるのは至難の技なのに
14歳や15歳ならどうでしょうか・・・。

どこで生きるのか?
何の仕事をするのか?
誰と生きるのか?

自分の価値観に合った、自由な生き方ができる場所は
本当にここなのか?

狭い世界しか知らない融通のきかない大人から
ガチガチに固まった思考を押し付けられたら
これからの人生を大きく左右する選択に
悩み、苦しむ子どもたちをさらに追い詰めてしまいますよね。

その点では、都会は、せわしないけれど、
多様性ある人生を認める柔軟性を持った人が多いので
「普通」を歩まなくても、どこかに居場所があるだろうし、
いろいろな生き方をなんとなく受け入れてくれる環境は
都会の良さとも言えるかもしれません。

今回の出張では、小中学校でのいのちの授業、
そしてママ向けの講演会をさせていただきました。

事前に島の随所に講演会のポスターが掲示されたので
おそらく、多くの島人の目に、
大阪から来る変な助産師の講演会情報は
入っていたはずだと思います。

関西で講演会やセミナーをすると、
必ず助産師や助産師の卵、保健師、医師など
母子保健や育児支援の専門家が
わたしの話を聴きに来てくださいます。

でも・・・徳之島では
同業者は誰一人、
講演会には来られませんでした。

あ、誤解しないでくださいね。
批判しているわけではないですよ。
上から目線なわけでもありません。

ただ、客観的に。
その事実が『仲間意識』という隔離された
狭いコニュニティーの特性を象徴していると感じました。

自分だけの価値観の殻から出ることのない
思考の世界は狭く小さいから。

だからこそ、いろんな人の、いろんな話を聴くことで
巨視的視野を得て、どんな背景のある相手に対しても
柔軟で応用性に富んだ思考で変幻自在に関わることができる
守備範囲の広い専門家に成長することができるのだと思います。

周産期にある、悩める女性たちに
さらりとしなやかで、フレキシブルなケアを
提供したいというプロ意識が
さらなる研鑽へと足を向かわせます。

今いるステージがゴールではなく、
プロとして、もっともっと向上できるように
夢や目標に向かって自分磨きを怠らないハングリー精神は
大切だと思います。

コミュニティー外から突然やってきた人間。
都会から来た助産師は、いったい何者????

怪しいから受け入れたくない。
認めたくない。

自己研鑽よりも、
田舎特有の閉塞的な心理が先に働いちゃったかも
しれないと思いました。

自分の知らない世界に飛び込んでみること。
外部の違う文化や価値観に触れてみること。

まずは支援者たちが。

続いて
子どもたちを導く大人たちが。

警戒姿勢を解き、建前にしがみつかずに
外交的立場で意識の持ち方を変えていくことができれば、

『子宝の島は、子育ての島へ』

さらなる成長できるはず・・・と

都会から来た助産師は
傲慢チキながら、感じたのでありました。

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